ベトナム北部フンイエン省の縫製工場=7月(共同)
 ベトナム北部フンイエン省の縫製工場=7月(共同)
 ベトナム北部フンイエン省の縫製工場にある無人のミシン台=7月(共同)
 ベトナム北部フンイエン省の縫製工場で働く人たち=7月(共同)

 ベトナムの米国向け主力輸出品である衣料品業界が苦境に陥った。トランプ米政権の関税措置が本格的に始まる前の駆け込み需要が終わり、工場からにぎわいが消えた。「相互関税」は46%から原則20%で妥結したが、負担は確実に増す。詳細も不明で、日系を含む製造業は不透明な先行きに歯がゆさを募らせる。

 ▽天仰ぐ

 「この数カ月の忙しさがうそのよう」。北部フンイエン省ティエンルウの縫製工場の女性幹部は7月中旬、天を仰いだ。響くミシンの音は小さい。4月は倉庫に収まりきらない米国向けダウンジャケットが玄関先に積み上がっていたが、今は跡形もない。

 手持ちの注文は8月までで、その先はゼロ。米国から今後の発注は期待できず...

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