感染を広げないよう迅速に対応しなければならない。県や関係自治体などはしっかりと処理を進め、風評被害が起きないよう万全を期してほしい。

 阿賀町の養鶏場で18日、高病原性鳥インフルエンザの感染が確認された。県は養鶏場で飼育している約15万羽と、同じ業者が新発田市の関連施設で保有する約6千羽の殺処分を始めた。

 この養鶏場では17日に鶏数十羽が死んでおり、遺伝子検査の結果、ウイルスの陽性が判明した。

 県内の養鶏場での発生は2016年以来3例目だ。

 県は、養鶏場の半径10キロ区域内で鶏などの搬出を制限したほか、県内の養鶏場へ注意喚起を行い、畜産関係車両を消毒するなど防疫措置を講じた。

 専門家は、感染した野鳥が侵入したか、そのふんなどを人や小動物が持ち込んだ可能性があると指摘している。

 他の養鶏場やレジャー施設などで連続して発生しないよう、各施設は対策を強めてもらいたい。

 消毒を徹底し、防護ネットに穴が開いていないか点検するなど、基本的な作業を徹底してほしい。

 昨年に続き、今季も全国で鳥インフルエンザの発生が相次ぐ。

 和歌山県のレジャー施設ではアヒルが感染し臨時休園に追い込まれ、飼育や展示していたダチョウやエミューなどを殺処分した。

 本県では10月に、新潟市北区と聖籠町で回収したハヤブサとノスリで確認されていた。

 遠く離れた地域でも警戒を怠ってはならない。

 16年に発生した時は、関川村と上越市で連続したからだ。

 家禽(かきん)で感染が出たのは県内で初めてだったこともあり、殺処分の資機材や作業用の防護服が不足し、初動に手間取った。

 前回の苦い経験を、教訓として生かしてほしい。

 他の施設で発生した場合に備え、各自治体は十分な準備をし、自治体間で協力できる態勢を整えておきたい。

 養鶏関係者の中には、前回の発生時、風評により卵や鶏肉が売れなくなった経験がある人もいる。クリスマスなど需要が高まる時期を前に、風評被害を心配する声も出ている。

 物価高が続く中、小売り業では、鳥インフルエンザの影響で流通量が落ちれば、さらなる価格の上昇や、消費マインドの冷え込みを招く懸念もある。

 不安を感じる消費者もいるだろうが、人への感染リスクは低いとされる。花角英世知事は、「鶏肉や卵を食べて、鳥インフルエンザに感染した事例は国内で報告されていない。安心して食べてほしい」と呼び掛けた。

 的確な情報発信は欠かせない。私たち消費者も正確な情報に基づいて冷静に行動したい。