新潟-大宮 後半27分、新潟の秋山(中央)がゴールを決める=9月25日、ビッグスワン

 2022年、アルビレックス新潟はJ2リーグの頂点に立ちました。チームは今季の活動を終え、新たな体制への動きも始まっています。来季戦うJ1へ思いをはせる前に、試合データからチームを分析し、いま一度今季を振り返る連載「2022解体新書」を掲載します。(5回続きの4回目)

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 守りを固められ、ミスからの逆襲やセットプレーで失点するのは昨季・2021年シーズンのアルビレックス新潟の特徴だった。「持たざる者」に敗れていたともいえる。

 昨季10敗したゲームを振り返ると、相手のパス本数は100本台と200本台が2試合ずつ。さらに300本台が4試合で、計8試合に上る。残る2試合は400本台だった。

 いずれも新潟のボール保持率は53〜73%で、相手を上回っていた。今季と似たような傾向だ。

2021年シーズンのホーム水戸戦。ゴール前で人数をかけて守る水戸の選手に囲まれるFW鈴木=2021年6月26日、ビッグスワン

 また、昨季の後半戦は、相手が新潟対策を取る試合が増え、引き分けも多くなった。後半の21試合で引き分けは9試合あった。

 終盤に失速した要因の一つに勝ちきれなかったことがある。後半戦は1試合平均の保持率が62・22%。引き分けた9試合中8試合は、相手のパス本数が300本以下で、敗戦時のデータと実に似ている。

 では、今季はどうか。昨季同様に、後半戦は新潟対策を取ってくるチームが目立った。戦績は13勝3分け5敗。前半戦の3敗から敗戦は増えたが、引き分けは6から3へと減っている。

 カウンターを怖がらず、攻めを貫いた結果だ。割り切って新潟にボールを持たせるチームを相手に「持たされる者」からの脱却を試みていたとも言える。

 そして注目する数字は、やはりパス。後半戦13勝のうち6勝は相手のパス本数が300本台以下だった。

 例えば第38節大宮戦は、新潟の保持率は65%で、相手のパス本数は391本。昨季のデータから見れば、引き分け以下が妥当な線だった。しかし、この試合はMF秋山裕紀のゴールで1-0の勝利を収めている。

 松橋力蔵監督が強調したコトバがある。

 「対策という言葉に過剰に反応する必要は全くない。もちろんうまく守られる時はあるが、90分間守り切れるかというと、それは無理。何回か手数をかけていったら崩れる。絶対に」

アウェーの山形戦で指揮を執る松橋監督。得点を奪っても厳しい表情を崩さなかった=NDソフトスタジアム山形

 そして大宮戦のゲームは言葉通りとなった。チームとしての成長を示すゴールでの勝利だった。

 ちなみに、今季の後半戦で勝利した試合は、平均保持率が61・69%となる。2019年は1試合当たりの平均が40%台だ。

 新潟は「持つ者」という戦い方を貫きつつ、「持たざる者」から守られても、ゴールを奪うための精度を上げた。昨季からの成長が伺える大きな点の一つだ。

※最終回は「ホーム&アウェー」です。