双子の娘を全力であやす高橋なんぐさん。お笑い芸人の本領発揮

▽毎日アドリブの「個育て」に全力投球

-出産は8月31日。初対面の感想は?

 双子なので帝王切開で、別の部屋で待機していました。新型コロナウイルスの影響で、台車で運ばれてきた透明ケース内の我が子を、写真を撮って終わり。大阪万博の「月の石」みたいに一瞬だけ見て終わりました(涙)。

-子育て奮闘中ですか?

 この取材に出かける3分前までミルクをあげていました。手を抜けないし、夫婦で協力しないと本当に厳しい。双子なので、おむつもミルクも全部倍ですよ! しかも消費量が半端ないし、物価高でキツい。みなさんのご家庭で不要なモノがあったら、ぜひください!

 できる子育ては全てやっています。授乳以外は。双子はひとくくりにされがちですが「個育て」ですよ。起きる時間もミルク、うんちの時間もバラバラで、1日が思い描いた通りに進まない。日々アドリブ。でもそれをストレスではなく、楽しむようにしています。

 育休を取ればと言われるけれど、お笑い芸人は休んだら1円も入らない。妻も仕事を徐々に始めているので、親に手伝いに来てもらっています。頼れる人がいたら誰でも頼っています。子どもは夫婦2人で育てているのではないと、痛感する毎日です。

ミルクもおむつの量も2倍。喜びも2倍

▽命授かる難しさ痛感、支援策もっと充実を

-不妊治療を振り返ってください。

 不妊治療を通して命を授かる難しさ、命の重みを改めて知ることができました。最終的に子どもを授かりましたが、治療中は「人間の努力行為だけでは、どうしようもできないこともあるんだな」という思いをずっと抱えていた。私の周りにも悩んでいる夫婦は多い。金銭的な負担も大きくて、今年4月から不妊治療に保険が適用されるようになりましたが、国はもっと早く適用すべきだったと思う。不妊治療や子育てに対する支援をもっと充実させるべきだと身をもって感じています。

-最後に、目指す父親像は。

 「ダメなモノはダメ」とはっきり言える親でありたい。多様性をはき違えないようにしつけたいですね。

 あと、お笑い芸人の子なので、ただ笑っていてくれればいい、というのが正直なところ。いっぱい笑わせたい。1泊2日の仕事から帰っても大きくなったと感じます。かわいくて、娘たちに毎日「愛しているよ♡」って言っています。妻? 明日から言いますて(汗)。

娘にミルクをあげる高橋なんぐさん。思わず顔もほころぶ

◎高橋なんぐ(たかはし・なんぐ)1981年、新潟県長岡市生まれ。15歳で吉本興業主催の「全国お笑いコンテストin東京ドーム」優勝。新潟お笑い集団NAMARA所属。全国1700以上の小中学校などを訪ね、いじめ・人権やSNSなどをテーマにした「お笑い授業」を展開。BSNラジオ「高橋なんぐの金曜天国」(毎週金曜午前9時〜12時30分)出演。著書にエッセー「米十俵 高橋なんぐのお笑い授業」。