能登半島地震による被害が本県でも次第に明らかになっている。土砂崩れで道路が寸断されたほか、液状化現象による隆起や陥没、建物被害が深刻だ。
自治体は復旧を急ぐとともに、被災者に寄り添い、確かな支援につなげてもらいたい。
石川県では5日までに、亡くなった人が90人を超えた。
本県では40人以上が負傷した。上越市の国道8号は土砂崩れの撤去作業が進むが、通行止め解除の見通しは立たない。
住宅被害は新潟市や糸魚川市などで約700棟となった。まだ全容がつかめず、さらに増えることが予想される。
液状化による被害が目立つ。道路は波打ち、アスファルトがめくれ上がっている。地盤が沈下し、住宅や電柱が傾いている。
自宅に住めなくなった被災者が避難所などに身を寄せている。少しでも安心できるように、支援と復旧を急がなくてはならない。
燕市ではごみ処理施設の煙突が傾いた。新潟市を中心に、小中高校など県内の公立学校の4分の1で、敷地の液状化や校舎の壁の剝離などが確認された。
地面の陥没などまだ見つかっていない被害があるかもしれない。新学期が始まる前に、学校や通学路を注意深く見回り、安全を確かめておく必要がある。
大きな揺れがあると、石垣の崩落など新たな被害が生じたり、既に起きた被害が広がったりする恐れがある。引き続き警戒したい。
傾いた自宅に住み続けていいのか心配している人もいる。
建物が安全かどうかを調べる応急危険度判定が本格化しているが、すぐに調べたい場合は、各家庭でできる簡易調査で倒壊の危険度を測ることができる。
傾いた住宅で生活すると、体調を崩すことがある。住み続けることが危険な場合は、避難所や知人宅に移ることも検討し、心身の安全を守ってほしい。
建てて間もない住居が被災し、経済的に不安だという人がいるだろう。自治体は個々の状況をよく聞き取って、住宅の補修や建て直しに関する支援策を示し、生活再建を支えてもらいたい。
液状化現象は、1964年の新潟地震で、信濃川沿いにあった4階建てのアパートが倒壊して広く注目された。
95年の阪神大震災では物流の拠点だった神戸港が壊滅的な打撃を受け、2011年の東日本大震災では千葉県や茨城県の住宅地で大きな被害があった。
震源が遠くても地震のエネルギーが大きければ被害が生じる可能性があると改めて認識したい。
液状化のハザードマップで周辺の状況を知り、万一の災害に備えておくことが大切だ。













