第一線のジャーナリストと報道の在り方を考える「ジャーナリストカフェin新潟」が2月10日、新潟市中央区の新潟日報メディアシップで開かれた。テレビ朝日「報道ステーション」の大越健介キャスター(62)らは、フェイクニュースも含めて情報が氾濫する中で、正確な情報を伝え続ける意義、記者としての姿勢や役割について語った。
新潟日報社とカナリア舎の主催。東京のサテライト会場を含め、メディア業界を志望する大学生ら約140人が参加した。
大越さんの他、「スローニュース」の熊田安伸シニアコンテンツプロデューサー(56)、共同通信社の有田司編集局次長(55)、新潟日報社の三島亮執行役員編集局長(58)と笹川比呂子報道部フリーキャップ(48)が登壇。自身の経験を報告し、来場者と意見を交わした。
情報発信が容易になった今、フェイクニュースであっても一気に拡散する。熊田さんは対策には限界があるとし、「『ここの情報は大丈夫』という基盤をつくることが必要」と提案。有田さんは「情報の正確性を日々の報道で示していくしかない」と述べた。
能登半島地震など災害報道に関する議論では、奥能登を取材した笹川キャップが「元日が命日になった人が多くいる。われわれは理不尽な死に思いをはせていかないといけない」と吐露。三島局長は国が支援金の上乗せ対象から新潟県と富山県を外した点に触れ「置き去りにされる人が出ないように声を上げることが地元紙の役割」と強調した。
一方、報道に自身の意見を反映させるべきかという記者志望者の質問に、大越さんは「取材を重ねた中で、私見ではなくて、公の意見として伝えるべきと判断した際は迷わず言うべきだと思う」と力を込めた。