新潟日報の連載小説「灯台からの響き」を読んでいる。 宮本輝さんが生み出す作品に登場する人物は、わたしたちの日常のどこにでもいる「普通の人たち」だ。 東京は板橋の仲宿(なかじゅく)商店街にある小さな中華そば屋「まきの」のあるじ、康平(こうへい)。 いまは亡き妻の元に、かつて届いた一通のはがきから始まる旅の物語である。 連載は既に200回をこえた。これから佳境に入る気配である。 ときどき登場する仲宿の商店や町並みが気になっていた。 先日、都内に所用があったついでに、板橋に寄ってみた。 期待していた通り、庶民の暮らしが息づく気持ちのよい空気に満ちていた。 仲宿商店街の最寄り駅...
残り1092文字(全文:1392文字)