雪国に根差した産業が経済を支えている本県で、暖冬少雪が及ぼす影響は大きい。
行政は地域の実情を把握し、支援してもらいたい。手をこまねいて、地域の衰退に拍車がかかる事態は避けねばならない。
気象庁によると、今冬の累積降雪量は、県内各地で平年の半分程度となっている。28日現在の積雪は、平年なら2メートルを超す津南町で81センチ、魚沼市(守門)で61センチ。上越市高田などはゼロだ。
本県にとって雪は重要な観光資源だ。代表格となるスキー場は、周辺の宿泊施設、小売業、飲食店と裾野が広い。
しかし、少雪で入り込み客数が前年を下回り、経営を圧迫している。キャンセルが相次いだ宿泊施設も少なくない。
長岡市営スキー場などはオープンできずに今季を終えた。例年3月上旬まで営業している阿賀町の三川・温泉スキー場が滑走できたのは年末の4日間だけだった。
雪まつりなど全国から観光客を呼び込める冬のイベントも少雪で中止や会場の変更、規模の縮小を迫られるケースが相次いだ。
仕事や集客の当てが外れ、困惑している人がいるだろう。
道路除雪も例年と比べて回数が大幅に減っている。県管理道路の除雪は20日現在、2022年度比で車道は58%、歩道は62%の稼働にとどまっている。稼働が少なければ、業者の収入が減る。
除雪を請け負う建設業者は「経費をはるかに下回る売り上げしかない」と嘆いている。県は除雪業者に支払う「基本待機料」の前払いをしているが、売り上げ減をカバーするには程遠い。
石油ファンヒーターやニット製セーター、鍋物に使う水産練り製品といった冬物製品の消費が低調なことも、本県の製造業にとって痛手となる。
暖冬少雪で経営に影響を受ける事業者向けに、「少雪対策資金」の取り扱いを始めた金融機関がある。除雪業者を支援するため、公共工事発注の前倒しを検討している自治体もある。
県や市町村はしっかり目配りし、地域経済への打撃を最小限に抑える施策を講じてほしい。
気がかりなのは、影響が冬場に限らないことだ。雪解け水がないと春の田植えに支障が出かねず、夏の用水不足も心配だ。
23年は山あいを中心に渇水に見舞われた。2年続きの不作となれば、中山間地の離農が加速する恐れがある。
昨夏は記録的な猛暑が全国を襲った。今冬の少雪と合わせて地球温暖化と無関係ではあるまい。
専門家は温暖化が進むと、干ばつや大雪を含め、気象が激しくなると指摘している。
今冬の雪は少なくても、来冬以降は豪雪になるかもしれない。災害への警戒を怠らずにいたい。