
新潟県内の釣り人の間で密かに話題となったイベントが8月末、新潟市北区で開かれた。福島潟に生息し、特定外来生物に指定されている「ブラックバス」を釣って駆除する催しで、定員の5倍に当たる申し込みがあった。バス釣りをかじった経験がある記者は、開催前から「どれだけ大量のブラックバスがすみ着いているのだろうか」と気になっていた。通常は釣りが禁止されている福島潟。手探りの中で、さおを振った。(報道部・奥村直之)
イベントは、新潟市北区自治協議会や福島潟新井郷川漁業協同組合などが企画した。駆除が大前提だが、実は食材としてのブラックバスの利用も見越していた。
漁協組合長、長谷川哲夫さん(74)によると、福島潟ではかなり昔からブラックバスが網に掛かっている。近年はそれほど大きな個体は見られないというが、「漁で狙う小魚が食べられてしまうんだ。もう、ずいぶん前からだけどさ」とつぶやく。
◆憧れの船釣りにわくわく♪しかし…
そうした福島潟に、8月31日午前5時前、ブラックバスを釣る気まんまんな30人ほどが集まった。親子連れも、竿を複数用意する愛好者もいる。
午前5時過ぎ、いよいよ出発。スタッフに促されて岸に向かうと、複数の船が着けてある。バス釣りでは岸から釣る場合が多く、船からの釣りは愛好者にとって一つの憧れだ。

ブラックバスは岸際や立木といった障害物に居着きやすく、船から岸に向かってルアーを投げる。「針や糸が枝などに引っかかるのではないか」とビクビクしながら、できる範囲でギリギリの場所を狙った。
次々に釣り場を変えることが釣果につながるが、こちらはエンジンのない木船。最初はエンジンの付いた船に引っ張ってもらったが、その後は自由に身動きが取れない。潟の流れのままに漂いながら、行き着く先々の岸際を攻め続けた。たくさん釣れると思っていたものの、投げても投げても、釣れなかった。

船と行き交うたび、互いに「釣れましたか」と聞き合う。返す言葉は「まだ何も」。午前9時の終了時刻が迫っていた。
巡回する長谷川さんが様子を見に来た。釣れない現状を知ると、「奥の手を使うか。こっちだ」と記者が乗る船をえい航。ヒシの葉が浮かぶ場所に来て、「雷魚を狙うんだ」と促した。

「狙いは、ブラックバスなのでは」と疑問を抱きつつ、長谷川さんの「何も釣れないよりかはいいだろ。ここにはいるはずだ」との言葉に納得。同じ船の4人全員でさおを振ったが、結果は変わらなかった。
◆いまだ釣果ゼロ…“ボウズ”回避なるか?
集合場所に戻ると...