投てき種目は自宅の畑でも練習している
投てき種目は自宅の畑でも練習している
マスターズ陸上の重量投げ90〜94歳の部で11メートル05の世界新記録を樹立した黒﨑弘明さん。賞状を手にポーズを取る=柏崎市笠島

ユーチューバーの顔も持つ黒崎弘明さん

 マスターズ陸上で数々の日本記録を持つ新潟県柏崎市笠島の黒﨑弘明さん(91)が、投てき種目の「重量投げ」で90〜94歳の世界新記録を打ち立てた。記録は11メートル05で従来の記録を46センチ上回り、同年代として世界で初めて11メートルの大台に乗せる快挙を成し遂げた。「老いてもやればできる。手の届くところに記録がある限り、元気で頑張りたい」と、さらなる高みを目指している。

 重量投げは短い鎖が付いた鉄球を投げ、飛距離を競う種目。89歳で初挑戦した際は10メートル60で、85〜89歳の部の日本記録まで10センチに迫った。以来「もっとやってみたい。まだまだ出せる」と、自宅近くの山の木を切り開いてつくった練習場や、自宅の畑で投げ込んだ。試行錯誤を重ね、体の前で鉄球を3回転させて反動をつけ、下から引っ張り上げるようにするフォームにたどり着いた。

 世界記録を樹立した大会は6月に茨城県であり、重量投げに挑むのは3回目だった。1投目で手応えを得ると、2投目に鋭い放物線を描いた鉄球は、11メートルライン付近で弾んだ。審判から11メートル05の記録を告げられると、両手を挙げて喜びを爆発させた。「もう何も言うことはない。あの世に行ってもいいと思うくらい最高でした」と渾身(こんしん)の一投を振り返った。

 トレーニングを始めたのは...

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