
桜井恵美子さんのアルコールインクアート作品
筆を使わず、ドライヤーで優美な色彩の花々を描いていく。新潟県魚沼市の桜井恵美子さん(39)は、インクを垂らし、インクの広がりや色の混ざり合いから生まれる模様を楽しむ「アルコールインクアート」を手がける。イベントなどでの対面販売にこだわっており、「お客さんがかけてくれた言葉の数々が、私に自信を持たせてくれた」と感謝の思いを胸に、世界に一つだけの作品を携え、全国各地を駆け回る。
熱に強い特殊な用紙にインクとアルコールを落とし、ドライヤーで強い温風を当てて花を描く。花びらの筋は細く、絶妙な色味で、押し花のようなリアルな画風を生み出している。
2018年にハンドメイドを手がけるようになった。水引などを作っていたが、3年ほど前、交流サイト(SNS)でアルコールインクアートを見つけ、「筆を使わずドライヤーだけで描いている」と衝撃を受けた。色彩も鮮やかで、心が躍った。作者に“ラブレター”を送り、指導を依頼。その後は独学で技術を磨いた。
最初は花びらが細長くなり、まるで「毛虫のようだった」という。今では、紙1枚に細かな花をいくつも描けるようになった。年間約1千枚を描き、「風だけで花を描けるのは県内で私だけだと思う」と自負するまでに成長。2023年からは活動を...
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