
旧三条市、栄町、下田村の新設合併により現在の三条市が誕生して1日で20年となった。近年は「アウトドアのまち」を打ち出し、全市一体で取り組む。一方、人口減少が進み、公共施設の老朽化など課題は少なくない。
下田地域でゲストハウスの運営などを行う今井将智さん(32)の小学生時代の夢は「下田村長」だった。2018年に「株式会社下田村」を設立し、「代表取締役村長」を名乗る。
合併で「村」ではなくなったが、「下田の良さを知ってもらうために合併したプラスは大きい」と感じている。新幹線の停車駅がある市で、アウトドアのレジャーなど豊かな自然を楽しめる地域として国内外に発信しやすいと思うからだ。
旧三条市中心部の一ノ木戸商店街で、伝統的な町家造りの建物内にテントを配置する中心市街地拠点施設「TREE(ツリー)」。「三条の街の伝統と下田の自然を合わせ、一つの市としてアピールできている」。代表の中川裕稀さん(32)も同様の考えだ。
インフラ面では12年、北陸道に栄スマートインターチェンジが開設された。栄商工会会長を務め、下田商工会と合併して24年に誕生した三条市商工会会長を務める佐藤洋一さん(77)は「実現したのは、市として誘致に取り組んだことも大きい」と指摘。栄地域のJR帯織駅周辺に住宅地が造成され、若い世代を含め定住が進んだことも合併の効果の一つに挙げる。

市は、国の合併特例債をごみ焼却や、し尿処理、斎場などの施設整備に活用した。合併前後に市長を務めた髙橋一夫さん(87)は「特例債がなければできなかった事業もある」と振り返る。
ただ、人口減少は著しい。合併直後の05年5月末に10万7828人だった住民基本台帳人口は、25年3月末時点で16・0%減の9万614人となった。

こうした中で...
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