
笹団子作りに適したササを採る福祉事業所の職員と利用者ら=阿賀野市久保
高齢化を背景に、県内で笹団子を包むササの採り手が減り続ける中、障害者の就労支援に携わる阿賀野市内の福祉事業所が担い手として名乗りを上げた。八つの事業所を中心につくる市障害福祉サービス事業所連絡協議会が、安田地区の山林でササ採りをスタート。職員や利用者らは「技術を高め、品質の高いササを出荷したい」と意欲を高めている。
事業を始めるきっかけは、昨年8月5日付の新潟日報朝刊の「県内・和菓子店 笹団子ピンチ」という記事。高齢化やクマ出没の影響で山に入る人が減り、ササの供給不足が深刻になっていることを報じた内容だった。
これを読んだ「さくらの会作業所」(若葉町)の管理者、石塚貴之さん(50)が「福祉事業所の作業として、ササ採りに取り組めないか」と思い立った。
ササを採り、菓子店に納品すれば事業所の工賃収入につながる。地域貢献にもなり「利用者のやりがい向上になる」と石塚さん。昨年秋、和菓子店の田中屋本店(新潟市江南区)に連絡を取り、快諾してもらった。阿賀野市の遊園地「サントピアワールド」(久保)の協力も得て、敷地内の山林でササを採ることになった。
6月中旬に初めて実施。5施設の職員、利用者ら約30人が参加した。林の中に入り、笹団子作りに適した長さ25センチ以上のササを探し出し、はさみで丁寧に採った。
初日の収穫は2200枚ほど。参加した利用者の男性(53)は「自然の中で体を使い働くのは、リラックスできる」とすがすがしそうに語った。
週4日くらいのペースで8月末まで作業し、1日1万枚を目標に掲げる。...
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