前例のない壮大な仕事

 全13巻からなる世界最大の漢和辞典「大漢和辞典」。著者は、旧下田村(現三条市)出身の漢学者・諸橋轍次(1883〜1982年)である。にいがた文化の記憶館では現在、諸橋轍次記念館(三条市)の協力を得て、生誕140年を記念した企画展を開催している。

 諸橋は新潟第一師範学校(現新潟大教育学部)を経て東京高等師範学校(現筑波大)を卒業後、同師範学校の教壇に立った。1919(大正8)年、37歳の時に文部省から命じられて2年間中国に留学。留学先で読書研究に専心していた時、一つのことを調べるにも多くの辞書類を使用しなければならない経験をし、1種類で事足りる辞典の必要性を痛感したという。

 帰国の4年後、大修...

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