雪国の景色に魅了され
南国生まれの洋画家が越後の雪景色を描くとどうなるのか。
小松明(1924〜2008年)は、高知県高知市に生まれた。新潟に何度となく足を運び、その景色に魅了されて作品を制作した。その作品は雪景が多く、三日月を添えてハザ木などの越後の風物詩が、冬の厳しさの中にじっと耐えているかのように象徴的に描かれている。当館への作品の寄贈を決めたご遺族によれば、故人がゆかりの地に遺(のこ)したいと切望していたとのことである。
「パリの街角」の小品は1966年にヨーロッパを旅行した際のものか。下塗りの白色絵の具に黒色絵の具を重ねた上から、細い鉄筆のようなもので引っかいて白線を加えている。これは富岡惣一郎の手法に...
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