風景や人物 画歴たどる

 笹岡了一(1907〜87年)は、中蒲原郡金津村(現新潟市秋葉区)に生まれ、昭和期に活躍した洋画家である。没後、その作品163点が一括して旧新津市に寄贈されたことを契機に、1997(平成9)年に開設されたのが、現新潟市新津美術館である。笹岡の絵画が所蔵品の中核をなす同館では現在、その生涯を振り返り、併せて、氏が設立した新潟光風会を紹介する企画展を開催中である。

 笹岡の画業で注目されるのは、応召し3度戦地へ赴いたことであろう。従軍を経験した画家は戦時下、戦争記録や戦意高揚のために絵筆を執った。戦後も、兵士として訪れた中国や朝鮮半島は創作の重要な着想源となった。

 代表作の「纏足(てんそく)」もその...

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