詩と異なる表現者の作品
詩人・国見修二を知ったのは詩集「鎧潟(よろいがた)」(1994年刊)でだった。
干拓で消えた新潟市西蒲区の潟、鎧潟で過ごした少年期の記憶から生まれた詩集で、思いおこすと、そこにも「母さん/舟の乗り方を忘れました」と母に呼びかける詩「舟」があった。「母は四時に起き畑を耕し」(「潟の復権」)とも同詩集中に書かれたその母は、今も98歳で健在だ、という。
彼女が92歳だった2019年に上梓(じょうし)された詩集「母は焚(た)き木です」には「母守唄」の副題がつけられている。三行詩という定型で、さまざまな母をうたった二百数十の詩が収められ、老いて子に近づいた母を、あたかも成人した子があやしながら口ずさん...
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