独自の表現 幅広く展開

 このたび、みつけ市民ギャラリーで「沢村澄子展 宙(そら)と書と」が開催される。

 そこで彼女が新潟大学書道科に入学して以来、四十余年間の活動を私なりに振り返ってみたい。

 入学当初は特に目立つ存在でもなく、彼女も他の学生と同じように暗中模索、ひたすら「書くこと」にのみ、励んでいたのを覚えている。元来、彼女は物事に対して内で悩むタイプではなく、制作面でも事あるごとに相談を持ち込む直情型の学生で、そのあまりにもいちずな思いにしばしば当惑させられたものである。

 中国では古来「意前筆後」は書の要諦とされるが、若い彼女に書論など通用するはずもなく、ひたすら胸中の思いを書として形に表現しようと焦る毎日であり...

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