全年代 多角的に回顧

 工芸家・原益夫と言えば、1957年に日展に初入選すると、60年には齢(よわい)、わずか26歳にして日展特選・北斗賞を受賞し、以来、主に日展と自身が創立会員となった日本現代工芸美術展を舞台に、常に第一線で発表を続けてきた。まさに現代工芸を代表する金属工芸作家の一人である。

 その活躍は2002年の日展における文部科学大臣賞受賞や、06年の日本芸術院賞受賞といった作品の評価のみならず、日展審査員や日展評議員を歴任するなど、後進の育成にも及んでいる。そんな原益夫が卒寿記念として、雪梁舎美術館で展覧会が開催されることになった。

 90歳を迎える現在でも作家として、日本現代工芸美術家協会の顧問として工芸に...

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