真に迫るリアルな表現

 この数年、日本のアートシーンで注目が高まっている写実絵画。現在、新潟市新津美術館では、そのブームの火付け役、あるいは写実絵画の殿堂とも称されるホキ美術館の所蔵品展を開催している。本展は、千葉市にある同館の所蔵品約500点の中から62点の油彩画を厳選して展示するもので、開幕以来、県内外から数多くの来場者が訪れている。

 同館は、医療器具の製造販売を行う企業を一代で築いた故保木将夫氏(1931〜2021年)が作家たちと直接交流しながら蒐集(しゅうしゅう)した写実絵画を所蔵する。写実絵画は、ものの本質、存在そのものに迫ろうと見たままを描く姿勢を基本とする絵画で、ルネサンス以降の西洋絵画史の伝統を背景...

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