75歳で始めた色鉛筆画

 「何かを始めるのに遅すぎることはない」と言われるが、胎内市在住の画家吉田吉紀氏ほど、この言葉を証明してくれる人はいないのではないだろうか。

 定年生活を送っていた75歳のある朝、たまたま見ていたテレビ番組に、色鉛筆画の作家作品が登場した。「すごい!」と目がくぎ付けになった。生活を一変するほどの出会いは誰にでも突然訪れる。それは第二の人生が始まる瞬間であった。

 近所には色鉛筆画を習える環境がなく、氏はすぐに通信教育の申し込みをするが、まずその純粋な熱意に驚かされる。基礎を学んだ後、対面の教室へ通い技術を磨いた。絵の題材となるものは日常生活にある身近なものがほとんどで、自転車で足を延ばしては、さま...

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