「異郷とはなにか」探求
「追想の旅」と題して新たな絵画表現に挑戦する近藤充の展覧会が、弥彦の丘美術館で開かれる。
近藤充は、新潟市生まれの60歳。新潟大学教育学部美術科在学中に、テンペラ画の表現に魅了され、鈴木力からその技法を学んだ。アリゾナ州立大学での短期留学を終え、憧れの異郷、中南米を遊学。諸国の自然、文化、歴史とともに、メキシコ国民の象徴的な存在である壁画群の訴求力に圧倒された。
大学院修了後、本格的な制作活動を開始した近藤は、外界を遮断するかのように目を閉じた女性像を描いてきた。そして彼らの内なる世界を、テンペラ画特有の平面的で明瞭な表現により、極彩色の異郷的幻影として、画面の背景に展開させた。近代的秩序を...
残り780文字(全文:1080文字)