細部に宿る作家の存在
現代工芸新潟会展が、今年も新潟市歴史博物館を会場に行われる。同会が発足したのは1962(昭和37)年。翌年よりほぼ毎年展覧会を開催し、県内の工芸美術の創作活動を盛り上げるとともに、中央の日展や日本現代工芸美術展で活躍する地元作家を輩出してきた。今回は、その記念すべき第60回目となる。
会場には、さまざまなジャンル、表現の作品が並ぶ。例えば、思わず手を触れたくなるような肌合いと釉色(ゆうしょく)を呈する陶磁、色彩の持つ鮮烈さと繊細さを同時に伝える染織品、硬い・重い・冷たいといった金属への先入観を視覚的に覆す金工品などに、私たちは出会うことになるだろう。それぞれの個性が目に楽しく、その多様さを一...
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