新しい作風を目指して

 「日本画」という言葉はいつできたのでしょう。

 1882(明治15)年、フェノロサが行った講演で使った“Japanese painting”の翻訳語として、「日本画」という言葉が作られました。洋画あるいは油絵の対概念としてのこの言葉は、その後現在まで使われています。そして洋画から刺激を受けた大正・昭和の日本の画家たちは「日本画」とは何かを模索していくこととなります。本展ではその中の2人の画家を取り上げます。

 速水御舟(ぎょしゅう)(1894〜1935年)は、東京・浅草に生まれました。彼は松本風湖の画塾「安雅堂画塾」に14歳で入門、古典の模写、屋外での写生を重ね、23歳の若さで日本美術院同人に推...

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