聴衆の胸に響く新世界

 新潟市出身の作家・坂口安吾(1906〜55年)の生誕日10月20日に開催している「坂口安吾生誕祭」。今年は浪曲師・玉川奈々福(たまがわななふく)さん、曲師・広沢美舟(ひろさわみふね)さんをお招きし、安吾の代表作「桜の森の満開の下」を新作浪曲として披露していただく。

 浪曲(浪花節)は明治初期に興ったとされる比較的新しい芸能だ。浪曲師の節(唄)と啖呵(たんか)(台詞=せりふ)に、曲師の三味線が合わさって物語が展開される。

 玉川奈々福さんは、1995年、二代目玉川福太郎(1945〜2007年)に曲師として入門した後、01年からは浪曲師としても活動し、抜群の企画力でさまざまな浪曲イベントをプロデュー...

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