喜びや悲しみ 体験基に表現

 画家斎藤真一の代名詞ともいえる「越後瞽女(ごぜ)日記」。今回特別企画展として、小林古径記念美術館(上越市)所蔵の中から、24点が弥彦の丘美術館で紹介される。

 斎藤真一は、1922年岡山県味野町(現倉敷市)で生まれた。子どもの頃から絵を描くことが好きで、家から大原美術館に通ったエピソードをもつ。東京美術学校(現在の東京芸術大)卒業後、1959年フランスに渡り、バイクでヨーロッパ各地を旅する。パリで親交を深めた画家藤田嗣治から、帰国したら「東北を旅するといい」と勧められ、津軽で瞽女の存在を知ることになる。瞽女とは、三味線を手に村々を門付けして歩く目の不自由な旅芸人のことである。

 瞽女に強く引かれ...

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