県警ヘリから見える視界。矢印の地点が要救助者がいる場所だ
県警ヘリから見える視界。矢印の地点が要救助者がいる場所だ

 心地よい風、沢のせせらぎ、頂上まで登り詰めたときの達成感-。登山で味わう感動は何物にも代えがたく、老若男女問わず多くの人を魅了する。その一方で山は、一歩間違えば命まで落としかねない危険な場所でもある。毎年、多くの山岳遭難が発生する新潟県警南魚沼署管内(南魚沼市、湯沢町)で、命を守るために活動する救助隊の実態と、山で遭難しないための方法を探った。(魚沼総局・小林史佳)

 10月末の小千谷市。小千谷総合病院の上空約15メートルでホバリングしている県警ヘリから、救助隊員が病院の屋上に降下した。要救助者の容体を確認し、ゆりかごのような救助用具「エバックハーネス」を装着すると、要救助者を抱きかかえてヘリに引き上げた。この間、5分足らずだった。

 これは小千谷市で行われた総合防災訓練の一こまで、救助の手順は山岳救助と変わらないという。県警航空隊救助係の星野翔太さん(30)は「事案を問わず、困っている人がいたら警察官として助けないといけない。クルーで一体となり、無事に要救助者を収容できた時にやりがいを感じる」と語る。

 周囲を山と海で囲まれた新潟県。中でも...

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