山岳ガイドとして八海山を案内する長井淳さん(右)。長井さんの指示の下、全員がヘルメットをかぶり、万全な装備で臨んでいる=10月(長井さん提供)
山岳ガイドとして八海山を案内する長井淳さん(右)。長井さんの指示の下、全員がヘルメットをかぶり、万全な装備で臨んでいる=10月(長井さん提供)

 心地よい風、沢のせせらぎ、頂上まで登り詰めたときの達成感-。登山で味わう感動は何物にも代えがたく、老若男女問わず多くの人を魅了する。その一方で山は、一歩間違えば命まで落としかねない危険な場所でもある。毎年、多くの山岳遭難が発生する新潟県警南魚沼署管内(南魚沼市、湯沢町)で、命を守るために活動する救助隊の実態と、山で遭難しないための方法を探った。(魚沼総局・小林史佳)

 山岳救助に備えて日々鍛錬する救助隊のメンバーは頼もしいが、登山者は遭難しないよう細心の注意を払って山に臨まなければならない。山のプロの山岳ガイドは装備品の充実を第一に呼びかけ、登山用の衛星利用測位システム(GPS)アプリの運営会社は、情報収集に基づいた登山計画の作成を勧めている。

 湯沢町山岳遭難救助隊員で、日本山岳ガイド協会認定ガイドの長井淳さん(52)=湯沢町土樽=は「雨具、リュックサック、登山靴」の3点は命を守ることに深く関わるとし、質の高い製品の購入を訴える。

 特に登山靴は性能によって疲労感などが大きく変わるため、登山用品専門店で履き比べることを勧める。

 食料や水などを必要以上に詰め込むと体力を奪うため、注意が必要だという。

 加えて「グループでの行動」を勧める。グループなら安全面や荷物の分担などのメリットは大きい。そのためにも「知識や技術を積んだ講師や上級者」をパートナーとして、行動を共にしながら教えてもらうことが上達への近道だとする。

安全な登山の方法について語る、日本山岳ガイド協会認定ガイドの長井淳さん=湯沢町土樽

 長井さんは「登山は自由である」としつつも、「レクリエーションである以上、命の危険は少なくしなければならない」と話した。

▽電波届かなくても現在地確認

 近年、登山者の遭難防止や救助活動に一役買っているのが、スマホのGPSアプリだ。ヤマップ(福岡市)は登山用GPSアプリ「YAMAP(ヤマップ)」を開発・運営している。

 ヤマップの特徴は...

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