伝統踏まえた独自の美

 駒形十吉記念美術館開館30周年最後の企画展は、加藤唐九郎ファミリーの陶芸をご覧いただきます。

 駒形のコレクションの多くは作家と深く関わり、その中で収蔵された作品たちです。そのため作品それぞれに興味深いエピソードが付いています。

 「黒織部茶碗(ちゃわん) 銘 草堂」は、ある骨董(こっとう)商で桃山時代の茶碗として売られていたものを駒形の懇意の画廊主が購入したものでした。しかし駒形は疑問に思い、唐九郎に見せたらどうかと提案。すると唐九郎は即座に「それはわしの作だ」と答えられたそうです。 その後、この茶碗は草堂と銘を付けられ駒形コレクションに加わりました。唐九郎は、自分の作品として納得がいくまでは...

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