「スピード感がないと、中国がPSCを日本に売り込んでくる」と日本での早期実用化に期待する宮坂力さん=横浜市青葉区の桐蔭横浜大
「スピード感がないと、中国がPSCを日本に売り込んでくる」と日本での早期実用化に期待する宮坂力さん=横浜市青葉区の桐蔭横浜大

 次世代太陽電池の「ペロブスカイト太陽電池鉱物の一種「灰(かい)チタン石」が持つ独特の結晶構造(ペロブスカイト構造)を持つ物質を材料とする太陽電池。電気を発生する材料の厚みは毛髪の太さの100分の1といわれる。(※ページ下部に詳細。)(PSC)」は、雨天や曇りの日、室内照明でも発電する。PSCの発明者である桐蔭横浜大の宮坂力特任教授(71)に、日本海側での活用方策などを聞くとともに、PSCの主原料となるヨウ素や、国内でPSCの開発に取り組む企業の動向を探った。(論説編集委員・仲屋淳)

-PSCは宮坂さんが発明した日本発の技術です。

 「日本にはPSCの主な原料となるヨウ素という貴重な資源がある。絶対に日本で実用化したい」

-世界で開発競争が繰り広げられています。中国の勢いをどうみていますか。

 「技術は負けないし、日本が遅れているわけではないが、太陽電池分野に限らず、中国の財力は特別だ。企業も投資の財力が半端でない。学会で中国を訪れた際、現地の企業を訪問した。中国はどんどんPSCを生産し、宣伝している。政府の支援も手厚い」

-2025年、日本でのPSCを巡る動きは。

 「国産製品販売に向けてメーカーの動きが加速する勝負の年になる。25年度中に製品の販売を始める企業もあるだろう。実際、製品の設置を希望する話が福井県内の自治体からきている。実証試験が活発に行われるのは間違いない」

-太陽電池は天気が良く、日照の多い場所でなくては発電しない印象を抱く人が多いです。

 「PSCは太陽の直射光がなくても発電する。日本海側に適していると思う。現在主流のシリコン製パネル型太陽電池のように太陽光に向けて設置しなくても、新潟では看板のように縦型に設置すれば雪は付かない」

 「銀世界になれば地面からの反射光は鋭いので、地面にPSCを向ける。シリコン太陽電池は重いので向きを変えるのは大変だ」

-信号機などに設置すれば、...

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