
窯から出した炭を家族で息を合わせかき寄せる清野主一さん(左)。火の粉が小屋の天井まで舞い上がる=阿賀町
かつては炭焼きが盛んだった新潟県阿賀町。しかし生活様式の変化とともに炭を焼く人は減り、現在なりわいとしているのは三階原集落の清野主一(しゅういち)さん(71)だけだ。生産する白炭の品質には自信を持っているものの、体力的な限界も感じつつあるという。きつい作業が続く炭焼きだが、使ってくれる人のため、窯に向かい続けている。
清野さんの炭焼き小屋は、集落から少し離れたところにある。窯は二つ。数十年前に清野さんが父親とともに造ったものだ。夏場は米づくりに汗を流し、農閑期に炭を焼いている。
炭焼きには4日ほどかかる。材料となる木材は、稲刈り終了後に近辺で伐採したナラを使う。150〜170センチほどの長さに切った木材を窯の中にびっしりと立てて詰め、火をつける。取り出すまでは、必要に応じて深夜にも様子を見に来るという。
1月下旬に行った炭の取り出し。炭焼きは妻の千恵子さん(64)と二人三脚の作業だが、この日は「子どものころから連れてこられた」という長男の典幸さん(40)も手伝いに訪れた。

鮮やかなオレンジ色に揺らめく窯の中から、...
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