時空超え広がる世界観
人と、草木のねむるとき、/空はほんとにいそがしい。//
星のひかりはひとつづつ、/きれいな夢を背(せな)に負ひ、/みんなのお床へとどけよと、/ちらちらお空をとび交ふし、/露姫さまは明けぬまに、/町の露台(ろだい)のお花にも、/お山のおくの下葉にも、/残らず露をくばらうと、/銀のお馬車をいそがせる。//
花と、子供のねむるとき、/空はほんとにいそがしい。
(「夜ふけの空」)
川﨑久美子さんの作品を見ていると、私はいつもそんな「金子みすゞ」の詩を思い浮かべる。普段はちゃめっ気のある小柄な彼女の中には、いったいどれほど大きな世界が広がっているのだろう。
強いシベリア颪(おろし)が吹きつける日本海の...
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