作風や交友 魅力が全開
山深く木々の深緑に囲まれ、渓谷を渡って友を訪ねる。遠くに聞こえる滝の音、庵(いおり)の主人は窓を開けて景色を眺めながら、友の到着を待っているのか、はたまた詩作にふけっているのか。
石川侃斎(かんさい)の絵を前にするとゆったりと豊かな気持ちになる。この魅力はどこからくるのであろうか。
侃斎は、1764(明和元)年、現在の古町通五番町に生まれた生粋の「新潟っ子」である。
江戸時代後期越後で最初に「南画家」として名が知られ、蘭(らん)、竹、梅、菊を君子にたとえた画題の四君子(しくんし)や山水画を多く描いた。中国の古画に学び、来越した釧雲泉(くしろうんせん)、亀田鵬斎(ぼうさい)との出会いを経て独自...
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