コメ産地が揺れている。品薄感や価格高騰で生産や販売の現場は混乱が続く。価格安定への道筋が見えない中、国は増産にかじを切ろうとしている。大きな転換点を迎え、関係者は状況をどう見ているのか。秋田魁新報社(本社秋田市)と連携し、日本有数の米どころである新潟県と秋田県の産地の声を発信する。

「仕入れをより安定させることの大切さ実感」野上会長

政府備蓄米や2024年産米が積み上がった精米所で仕入れについて語る野上茂会長=長岡市

 小泉進次郎農相は、コメ卸はもうけすぎだという趣旨の発言をしたが、これはうがった見方だ。私はそう思わない。当社の売り上げに対する利益率は5%程度だ。

 長年当社の主な仕入れ先はJA系統。2025年産も比較的量を確保できた方だが、それでも足りない分は銀行から融資を受けて、ほかの卸から高く仕入れることもあった。お客さまが必要としている量を確保し、届けるのが私たちの使命だと思っている。

 品薄の年は、これまで安定して買ってくれたお客さまに優先して納めることになる。そのため新規のお客さまはどうしても後回しになってしまい、心苦しい。

 当社は精米所を持っており、一般競争入札と随意契約の備蓄米の精米を数社から受けている。特に随意契約の備蓄米は、小売りから店頭に早く並べたいという要望があり、タイトなスケジュールの中でなんとか対応した。

 ただ...

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