コメ産地が揺れている。品薄感や価格高騰で生産や販売の現場は混乱が続く。価格安定への道筋が見えない中、国は増産にかじを切ろうとしている。大きな転換点を迎え、関係者は状況をどう見ているのか。秋田魁新報社(本社秋田市)と連携し、日本有数の米どころである新潟県と秋田県の産地の声を発信する。

「若者の参入増へ、リスク減らす仕組みを」涌井会長

コメ増産に向け、若者の就農へのリスク軽減を訴える涌井徹さん=大潟村あきたこまち生産者協会の倉庫

 新潟県吉田村(現十日町市)で生まれ、1970年に大規模稲作の夢を抱いて秋田県大潟村に入植した。その翌年、国が減反(生産調整)を始め、入植した農家は振り回されることになった。昨年からのコメ不足、価格の高騰は減反が一因だと考えている。

 半世紀続いた減反政策は、農家からコスト意識を奪った。コメに付加価値を付けるブランド...

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