
佐渡市でスルメイカの記録的な不漁が続き、観光イベントや水産加工業者に影響が出ている。例年水揚げが多い6月の佐渡魚市場(春日)の取扱量は、約2・6トンと過去最低を記録=グラフ参照=。漁業関係者は「ここ数年、不漁は続いているが、今年もひどい状況だ」と肩を落とす。(佐渡総局・長尾胡春)
スルメイカは回遊魚で5月下旬〜8月ごろに多く取れる。佐渡魚市場の取扱量(6月分)の推移は、2020年、22年は100トンを超えたが、23年は異例の不漁となり約5・2トンを記録。今年は23年を下回る事態となった。
島内でイカ漁が盛んな姫津漁港を拠点とする、姫津漁業協同組合の水野信明組合長(65)は「今年は取れる感覚や手応えがまるでない」と話す。
高騰する船の燃料代なども賄えないとして、出漁しない船も多い。毎年7月に開かれる観光イベント「姫津いかイカまつり」が不漁や運営の人員不足が重なり、開催を断念。代わりに7月下旬までの土日曜に姫津漁港でイカ汁や焼きイカなどを販売することにした。
島内の水産加工業者への影響も甚大だ。イカを専門に加工する大上塚本商店(原黒)の人気商品「丸干いか」は、今年1月から在庫切れの状態が続く。例年6〜8月に佐渡沖で取れた新鮮なスルメイカを丸ごと乾燥させ、一年かけて販売するが、今年はいまだに製造の見込みが立っていない。
塚本幸二社長(64)は「お客さんに待っていただく状態が続き、心苦しい。年々漁期が遅くなっており、昨年も8月になってからイカが安定して入ったので今後取れることを期待するしかない」と声を落とす。
塚本社長は安くて身近なイメージのイカが、高価で手が届きにくいものになっている状況を説明。「中元などの贈答用として活路を見いだしたい」と明かした。
一方、今季はスルメイカを餌とするクロマグロが豊漁となった。漁業関係者らの中には、クロマグロがイカの不漁に拍車をかけているとみる人も多い。
県水産海洋研究所の樋口正仁所長は不漁の要因について、「クロマグロの捕食だけが、スルメイカの不漁に大きな影響を与えているとは考えにくい」と指摘。海水温の変化や乱獲などで東シナ海で生まれるスルメイカの数や生存数が減少している要因も推測する。ただ、「原因は明確に分からない」と話す。...
























