異常ともいえる天候だ。農作物の生育が心配だ。影響を最小限に抑えるために、今できる最善の策を急ぎたい。長期的な目線で対応策を考える必要がある。
県内では高温少雨が続いている。新潟地方気象台によると、7月上旬の北陸地方の平均気温は平年に比べて4・0度も高く、統計開始以降最高を記録した。降水量も7月上旬としては過去最も少なく、平年の6%にとどまった。
その後も気温は高く、まとまった雨は降っていない。水稲への影響も出ている。気が気でない思いをしている生産者は多いだろう。
県はこのまま日照りと高温が続けば、高温障害が発生し、収量や品質に影響が出る可能性が高くなるとして、生産者に穂肥(ほごえ)を与えるよう呼びかけた。
上越市では雨水や雪解け水に頼る「天水田」で、水田が乾いてひび割れ、一部の葉が変色するなど生育にも影響が出始めたという。
柏崎刈羽地域で栽培されている極(ごく)早生(わせ)米「葉月みのり」も日照りで収量減の危機にある。
主力のコシヒカリは来月以降、水が最も必要な出穂期を迎える。
自治体では、ポンプなどかんがい用資機材の購入費の補助事業を始める動きもある。必要な支援策を講じるべきだ。
2023年にも猛暑と渇水により県内全域でコメの収量が低下し、27市町村で前年を下回った。1等米比率は14・0%と、06年以降で最低だった。
この年は全国的に収量が低迷し、24年夏以降のコメ不足と価格高騰につながった。
農林水産省は25年産の主食用米について、全国の生産量が前年実績比56万トン増の735万トンになるとの見通しを示している。
ただ、全国的にも猛暑となっていることから、収量が減り、コメの高値が続くことも懸念される。
猛暑の原因は地球温暖化により、大気の温度が押し上げられていることにあるという。高温耐性のある品種への切り替えを急がなければならない。
県は高温に強い極早生米の一般栽培と販売を26年産からスタートさせる方針だ。新潟大は暑さに強い「新大コシヒカリ」(NU1号)を開発した。
高温耐性のある晩生(おくて)の新之助を含め、さまざまな品種を組み合わせるなど、工夫してほしい。
コメ以外の農産物にも温暖化の影響が出ている。キュウリやピーマンなど夏野菜は平年より高値で推移する。
聖籠町では2年連続でサクランボが不作となり、刈羽村の砂丘桃は収量が減る見通しだ。
農産物が不作により高騰すれば、家計への打撃が大きい。
品種改良や農業技術の向上といった取り組みを続ける一方で、長期的には地球温暖化を食い止める必要がある。