成年皇族として新たな一歩を踏み出された。皇族としての務めを果たすために必要な体制をしっかりと整えたい。将来を見据えた皇室制度改革の議論も急がれる。

 秋篠宮家の長男悠仁さまが19歳の誕生日を迎え、成年式に臨まれた。

 男性皇族が成年した姿を内外に示す重要な儀式だ。成年式が執り行われるのは、1985年の秋篠宮さま以来40年ぶりとなる。

 皇居・宮殿では、天皇陛下から授かった冠を着ける「加冠(かかん)の儀」などが催された。

 「朝見の儀」では天皇・皇后両陛下を前に、「成年皇族としての責務の重さを自覚し、さらに勉学にいそしむとともに経験を積む」と、決意を述べた。

 悠仁さまは、筑波大学在学中は学業を優先させつつ、徐々に宮中行事や公務への出席を増やしていくという。

 さまざまな経験を積み、国民に愛され、親しまれる皇族になってもらいたい。

 一方、皇室には未成年者がいなくなり、悠仁さま以降の世代の空白が懸念される。

 近年は皇族の減少が続き、40代以下の6人のうち5人が女性で、次世代で皇位継承資格を持つのは継承順位2位の悠仁さまだけだ。

 皇統存続には、悠仁さまの結婚が大前提となり、本人はもちろん、結婚相手にも重圧がかかることになるだろう。

 皇室典範では「女性皇族は結婚によって皇室を離れる」と規定され、愛子さまや佳子さまは結婚すると皇室を離れる。このままでは皇族数は今後も減り続け、皇族公務の担い手も先細りする。

 政府の有識者会議は2021年、皇族数確保のため「女性皇族が婚姻後も皇族身分保持」と「皇統に属する男系男子の養子縁組容認」の2案の検討を軸とする報告書を答申した。

 これを受け国会は22年から議論しているが、与野党の隔たりは埋まらない。いまだに結論が見いだせないことは残念でならない。

 先の通常国会でも、女性皇族が婚姻後も身分を保持する案に与野党はおおむね賛同したが、その配偶者と子に皇族身分を与えるかどうかで一致しなかった。

 自民党は、旧11宮家の男系男子ならば認める案を提示したが、妥結には至らなかった。

 安定した皇統の存続には皇族数の確保が欠かせない。秋の臨時国会で与野党は危機感を一層強く持ち、議論に臨んでもらいたい。