
「佐渡島(さど)の金山」(佐渡市)の世界文化遺産への登録決定から27日で1年となった。新潟県初の世界遺産を後世につなげるため、地元では保全・活用への取り組みが続く。一方、国内外からの観光客は2割程度の伸びで、佐渡市は2027年に「60万人観光地」になることを目指して誘客に力を入れる方針だ。
佐渡島の金山は「相川金銀山」と「鶴子銀山」、「西三川砂金山」で構成。昨年7月にインド・ニューデリーで開かれた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の委員会で登録が決まった。
登録後、県や市はユネスコに提出した「『佐渡島の金山』包括的保存管理計画」に基づき、資産の適切な管理や来訪者に対する利便性向上など64項目のアクションプランに沿った保存・活用を進めている。
官民連携の取り組みも進んでいる。5月には「『佐渡島の金山』保存活用推進ネットワーク」が発足。団体・企業だけでなく個人も含めた組織で、環境美化などの保全活動のほか、イベントを通じた交流人口拡大や文化財の調査研究などに取り組む方針だ。
県などは「資産の価値を理解してもらうには、現地を訪れ、見てもらうことが重要」と捉える。ただ、24年の島内の入り込み客は前年比6・5%増の47万910人。観光目的に絞っても昨年(1〜12月)は前年比17・6%増だった。佐渡市は観光客を毎年1〜2割ずつ増やし、27年には入り込み客全体で年間60万人にすることを狙う。
一方、登録を巡っては、韓国が「佐渡金山で戦時中に朝鮮半島出身者の強制労働があった」とし「全体の歴史」を反映するよう主張した経緯がある。政府は佐渡金山の全ての労働者のための追悼行事を毎年行うことで韓国政府と合意。韓国外務省は今年も9月以降に行われるとの見通しを示している。県世界遺産室は「開催時期は決まっていない。実行委形式での実施に向け準備を進めている」としている。
登録1年について、...