
加害者の男に自身の心情を伝えようとつづった書面を見つめる長女を亡くした渡辺保さん=6月、横浜市
犯罪被害者への実効性のある損害回復制度の検討に向け、政府は一歩前に踏み出す。制度の在り方に関し、海外の事例を調査する方針であることが2日判明。賠償責任は一義的に加害者にあるとして、代理回収など新たな仕組みづくりに日本は消極的だった。被害者側が泣き寝入りとなる現状に、識者は「犯罪は誰に起きるか分からず、被害者のみに損害を負担させる不公平を解消すべきだ」と指摘する。
▽負担
「有期刑で出所したとしても、『おまえには弁償責任がある』と重荷を背負わせたかった」。2000年に長女=当時(22)=を殺害された横浜市の渡辺保(わたなべ・たもつ)さん(76)は振り返る。長女は帰宅途中に襲われ、3年後に中学の...
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