
米軍に在籍していたころのハート・バイジェスさん(共同)
2003年のイラク戦争から帰還した元米兵が、20年以上経過した今も過酷な体験に起因する心の疾患「戦争トラウマ」にさいなまれ続けている。精神状態の不調や悪夢といった症状が消えず、自殺するケースも後を絶たない。「元の日常は二度と戻ってこない」。ウクライナやパレスチナ自治区ガザで戦闘が続く中、現地の兵士や住民らへの影響を憂えている。
▽激変
「人と人が殺し合う戦場にいると、誰もが心に変調を来す」。6月上旬、米南部テキサス州オースティン。薄暗いマンションの一室で元米兵ハート・バイジェスさん(49)がつぶやいた。片隅にはイラクで戦死したり、帰還後に自殺したりした元同僚の写真が並ぶ。
01年の米中枢同時...
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