托鉢を終えた良寛が、よく子どもたちと遊んでいたという三条八幡宮=三条市八幡町

 江戸中期の出雲崎に生まれ、諸国を行脚した後、国上山(燕市)に庵を結んだ禅僧、良寛。修行にいそしむ一方、多くの秀歌や書を残し、越後を代表する文人としても知られる。日々、托鉢(たくはつ)や歌作などを重ねた県央地域と、生誕地のゆかりの地を巡り、人を愛し、自然を愛し、清貧を貫いた名僧の生涯とその魅力に触れた。(三条総局・中村紗菜子、柏崎総局・鈴木啓予、柏崎総局・中内風花)

托鉢で訪れた三条で町民に慕われ…詩碑に残る「尊敬の念」

三条八幡宮、宝塔院

 国上山(燕市)の中腹にある五合庵と乙子(おとご)神社草庵で、70歳ごろまでの約30年を過ごした良寛は、その間、托鉢(たくはつ)のためにしばしば三条の町を訪れた。江戸時代、金物を中心に商工業が盛んになり、経済的にも発展した三条は、和...

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