国立環境研究所で飼育しているヒアリ=2025年8月、茨城県つくば市
 国立環境研究所で飼育しているヒアリ=2025年8月、茨城県つくば市
 東京都内の港湾のコンテナヤードでヒアリの巣の有無を確認する坂本洋典・国立環境研究所主任研究員(中央、同研究所提供)
 坂本洋典・国立環境研究所主任研究員
 ヒアリの侵入確認事例

 国立環境研究所(茨城県つくば市)が、南米原産で強い毒を持つヒアリの飼育を始めた。国内初の取り組みで、日本の気候や自然環境での生態解明や、有効な薬剤の研究を進める考えだ。本年度は国内侵入事例が過去最速ペースで増えており、定着を防ぐための水際対策強化が急がれる。

 ▽被害

 「ヒアリが侵入する港湾で、好む餌となる植物が分かれば、事前に除去することができる」

 国環研の坂本洋典主任研究員が力を込めた。何重にも鍵のかかった実験室では、台湾から移送した1万匹のヒアリが逃げないよう、厳重に管理しながら飼育をしている。

 ヒアリは体長2・5~8ミリの赤褐色のアリ。攻撃性が強く、毒針で刺されると腫れや激痛が生じ、強...

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