低価値医療の研究を続ける筑波大医学医療系の宮脇敦士准教授=東京都文京区
 低価値医療の研究を続ける筑波大医学医療系の宮脇敦士准教授=東京都文京区
 低価値医療の例

 医療費の急激な増加による財政悪化や国民皆保険制度の破綻が憂慮されている。今年2月に開かれた厚生労働省社会保障審議会でも医療費削減の観点から効果の薄い「低価値医療」の負担見直しに触れる有識者もいた。この聞き慣れない医療は、研究によると年間1千億円以上の規模になるという。どんな医療なのか、専門家に聞いた。

 ▽実態調査

 筑波大医学医療系の宮脇敦士准教授(社会医学)によると、低価値医療とは患者にほとんど健康改善効果をもたらさない薬の処方や検査、手術といった医療行為で、医療費が急増する米国を中心に2010年ごろから「ロー・バリュー・ケア」と呼ばれ始めた。典型的なのは、ウイルスが原因の風邪に対する抗菌薬...

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