
済生会新潟病院の不妊治療を支える培養室。体外受精などに用いる特殊な機材が並ぶ=新潟市西区
少子化対策の一環として国は4月から、不妊治療の公的医療保険の適用範囲を大幅に拡大した。より高額な治療も対象となり、費用面が壁だった当事者に治療への道が開かれた格好だ。一方、保険適用は標準的な治療に限られるため、新潟県内で患者と向き合う現場の医師からは苦悩もにじむ。10日投開票の参院選でも各候補は少子化対策を訴えるが、治療の支援拡充だけでなく、より手厚い子育て支援策を求める声が上がる。
今回の範囲拡大により、排卵の時期を指導するタイミング法や、精子を直接子宮に入れる人工授精に加え、体外受精や顕微授精といった高額な不妊治療も保険の対象になった。
厚生労働省の調査では、従来の治療1回の平均費用は人...
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