甲子園初出場で逆転勝利し、校歌を歌う新潟産大付属高の選手ら=8月9日、兵庫県西宮市の甲子園球場

 夏の全国高校野球選手権が開幕し、連日熱戦が続いている。試合が終わるたびに流されるのが、勝利した学校の校歌だ。聞いてみると、歌詞には土地を代表するような山や川がよく登場する。そこでふと気になった。都道府県で5番目に面積が広く、海も山も川もある新潟県の高校で、校歌に一番よく出てくる風物は何だろう。各校のホームページや個別の取材から約90校の校歌・学園歌を調べると、自然はもちろん、歴史や産業など各地の個性を際立たせる言葉がちりばめられていた。その一部を、大切に歌い継ぐ人の思いとともに紹介する。

(報道部・横山志保)

歌詞への登場数、川は「信濃川」が1位!山は果たして?

山・川以外では「日本海」多く、「地球」「銀河」など壮大な言葉も

 第106回全国高校野球選手権で8月9日、新潟県勢として7年ぶりに白星を挙げた新潟産大付属高(柏崎市)の校歌が、兵庫県西宮市の甲子園球場に響き渡った。埼玉県の強豪・花咲徳栄高を逆転で下して勝利した選手らは、誇らしげな表情で歌っていた。

 校歌の3番には米山を思わせる「米峰」が歌われる。新潟大会ではノーシードから勝ち上がった新潟産大付属高。決勝を制すると、応援席には一体となって校歌を歌う人々の姿があった。野球部OBの田中航さん(20)は「こういう場所で、みんなで歌う校歌は本当に最高」と声を弾ませた。

 県内の高校全体ではどうなのか。約90校について調べてみた。

 学校名として使われる地名を除いて数えると、川では日本一長い「信濃川」が最も多かった。「信濃」の語も含めると25校で登場する。

 新潟高は出だしが「百里流れて信濃川」、長岡農業高も「大河信濃のゆたかなる」で始まる。流域の広さを表すように、新潟市内から三条、長岡、十日町の各市まで広い地域の学校で校歌に採用されている。

広い流域を誇る信濃川の河口付近。地域によって姿は違うが、雄大な流れを歌われることが多い=新潟市中央区

 信濃川以外で複数の学校に歌われているのは、「阿賀野川」「魚野川」「三面川」「加治川」のみ。それ以外は、地域の川を歌に入れる傾向があった。

 信濃川に集中した川と異なり、山については地域差がある印象だ。最も多く登場した弥彦山は14校の校歌に出てくる。新潟市のほか、三条市や加茂市など県央地域の校歌がほとんどだ。

 下越地域では「飯豊」、柏崎市周辺では「米山」、上越地域では「妙高」が多く、魚沼地域は「八海山」「苗場」「守門」などと分かれた。佐渡市内だと「金北山」が登場。学校から見える山、身近な山を取り上げることが多いのだろう。

 川や山の種類を数えてみると、...

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