原材料費や燃料費の高騰、円安などの影響で生活必需品の値上げが相次いでいる。新潟日報社の「もっとあなたに特別報道班」(もあ特)の会員に、「値上げもやむを得ないもの」「値上げしてほしくないもの」をアンケートしたところ、どちらも「ガソリン」「食料品」が上位を占めた=グラフ参照=。家計のやりくりに苦労する中、値上げは勘弁してほしいが、「仕方がない」という苦しい胸の内がうかがえた。

 3月25日~4月3日に無料通信アプリLINE(ライン)で、県内外の287人から回答を得た。「ガソリン」「食料品」「光熱費」「通信費」など8項目の中から、値上げもやむを得ないもの、値上げしてほしくないものを一つずつ選択してもらった。

 値上げもやむを得ないと思えるものは「食料品」が25・1%と最も多く、「ガソリン」22・3%、「酒、ビールなどアルコール飲料」21・6%が続き、「電車、バスなどの運賃」は11・1%だった。

 緊迫する世界情勢を考慮し、輸入が多い食料品やガソリンの値上げを受け入れる回答が多かった。アルコールは嗜好(しこう)品のため、値上げも仕方ないという選択も目立った。

 食料品を選んだ村上市の40代女性は「生産者も光熱費や原材料、肥料などお金がかかっているので仕方ない。コストダウンばかりでは、作り手さんがいなくなってしまう」とし、「値上げする側」への配慮を示した。

 一方、値上げしてほしくないものは「ガソリン」が38・3%でトップ。「食料品」が27・2%、「電気、ガス、水道などの光熱費」が25・8%と、この3項目で9割以上を占めた。

 車社会の本県ではガソリンの値上げは家計に大きく響く。三条市の60代男性は「買い物、通院など全てにおいて車は必要。地域の公共交通が充実していないから」と回答。食料品に関しては「食べ盛りの子どもがいる。じわりじわりと響いてきそうだ」(新潟市江南区40代女性)といった声があった。

◆「無駄点検の機会に」

 物価高を受け、もあ特会員からはそれぞれの生活事情に沿った節約術が寄せられた。

 新発田市の無職の男性(80)はガソリンの高騰を受け、「レジャーには行かず、車になるべく乗らないようにしている。買い物で車に乗る時はできるだけ近くのスーパーに行き、燃料を節約している」と打ち明けた。

 ウクライナ情勢を受け、ガソリンが高騰していることに対しては、ロシアの侵攻でウクライナの人たちが大変な思いをしているので我慢するしかないとした。

 新潟市東区の主婦(59)は「スーパーでは値引きシールが貼られた商品を買う」と強調。おかずを1品減らしてやりくりしているという。

 また、今冬の電気料金が前年の2〜3倍になったため、少しでも電気使用量を抑えようと、午後9時には寝てテレビを見ないようにしているという。

 「できるだけ常夜灯を使い、電気料金を節約している」と話すのは村上市の男性会社員(55)。これまで発光ダイオード(LED)電球もできるだけ使わずに、とにかく節電に努めてきたという。

 新潟市秋葉区の会社員女性(48)は、物価上昇は容認しつつも、ガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」の発動を政府に求める。車は通勤と送迎などで毎日使い、週1回の給油で7、8千円はかかるという。「週2回だった外食は、2週間に1回に減らした」という。

 「いつも3千円の定額給油をしているが、毎回毎回燃料計の残量表示が思ったより上がらなくなり、がっかり続き」。柏崎市の主婦(37)は、ガソリン給油のたびに価格上昇を痛感する。食料品の値上げはしてほしくないと思いつつ、育ち盛りの子どもにはしっかり食べさせるために、食の質はできるだけ落とさないようにしているという。

 新潟市消費者協会の和田澄恵会長は「値上げは消費者にとって望ましくはないが、それぞれの世帯で、家計を見直して無駄を点検するいい機会。そういう点では値上げはすべて悪ではない」と話している。