
10月27日の投開票まで1週間を切った衆院選。各候補者が新潟県内各地で舌戦を繰り広げ、有権者は訴えに耳を澄ます。次代を担う若者は各政党や候補者の主張をどう受け止めるのか。年代別でとりわけ投票率が低く、政治への無関心が指摘される20代の実情を知りたいと、新潟県内の大学生6人の胸のうちに迫った。選挙期間中に取材を重ね、彼らの考えの変化も追う。(3回続きの1、文中仮名)
「選挙に行ったことは一度もない。政治に関心がなかったから」。新潟大大学院2年のリョウさん(23)は、きっぱりと話す。
東北地方の出身で、新潟での暮らしは6年目。学費や生活費は親からの援助を受けている。実家の経済状況も悪くはなく、生活をよくしたいという強い思いはない。「困窮していないから興味がないのだと思う」
電気系の研究をし、休日に大学へ行くことも。平日は夜中までアルバイトをする日も多い。「学業や趣味を優先したい。政治に関することに割く時間は1日に1分もない」。酒を飲めば政治の話題も出て、農政批判を展開する友人もいるが「毎回聞き流す」と苦笑いする。
県選挙管理委員会によると、2021年の前回選の県内投票率は63・16%。年代別では20代が38・13%と最も低かった。県選管は今回の選挙で、20代の俳優を投票応援アンバサダーに起用するなど若者にアピールしている。
だが、政治や社会問題に関する若者たちの情報源は限られているようだ。
◆経済に関心あるけど… 自分に当てはまる政策は「少ない」
三条市立大4年のシンゴさん(21)がニュースに触れるのは、食事中に流し見するテレビくらい。政治にまつわる内容はX(旧ツイッター)や動画投稿サイト「YouTube」で著名な実業家らの見解を見聞きする程度だ。
この衆院選では自民党の派閥裏金事件を受けた「政治とカネ」問題がメディアで取り上げられているが、それも「ピンとこない」という。「裏金がなかったとして、自分たちにメリットはあったのだろうか。騒いでいるけれど、自分には関係ない」と考える。
県外の製造メーカーへの就職が決まっており、今後の日本経済などに関心がないわけではない。ただ現時点では、各党の主張も「自分に当てはまる政策が少ない」と感じている。

新潟工科大大学院2年のショウタさん(23)も「若者の意見があまり通らない印象があり、行っても無駄だと思っていた」と、選挙への関心は薄い。これまで政治家が街頭演説をしている姿を見かけたことはあるが、「どの候補者も言っていることは同じに思える」と、立ち止まることはなかった。
9月にあった自民党総裁選には関心があった。事実上、次の首相を選ぶことであり、誰がその座に就くかによって、この国の向かう未来が大きく変わる気がしたからだ。一方で衆院選については「誰がなっても今後どうなるか分からず、なじみがない」と困惑した。
◆働く友人、税金キツそう… 将来の自分想像し政策に興味
今回取材している6人は...