
下げ紙を手に「小学生にも参加してもらうなどして、今後もこの活動が続くといい」と語る男子生徒=佐渡市水津
前浜中学校(新潟県佐渡市水津)の生徒が、2024年も新年の縁起物をかたどった正月飾り「下(さ)げ紙」を作製した。新型ウイルスなどの影響で休止していた地域への配布も3年ぶりに行い、地域への感謝を伝えた。
下げ紙は、半紙に七福神やタイ、鏡もちなど縁起の良いものをかたどって紙を切り抜いたもの。「袴(はかま)紙」や「垂れ紙」とも呼ばれ、神棚の下につり下げ、新年の家内安全や五穀豊穣(ほうじょう)、大漁などを祈願する。
前浜中では2009年から、下げ紙作りに取り組んでおり、学校区の世帯にプレゼントしていた。下げ紙作りが始まった経緯は定かではないが、小川裕人校長は「1人暮らしの高齢者を元気にしたいという思いで始まったのではないか。(08年の)高波による浸水や人的被害を受け、集落安定を願う気持ちもあったのかもしれない」と推し量る。新型コロナウイルス禍でも作製は続けていたが、住民への配布は21年を最後に中止していた。
2024年は、夏休みに前浜中の全校生徒8人と教員らが協力して250枚以上の下げ紙を作った。カッターナイフを繊細に動かし、伊勢エビなど全8種類の絵柄を用意。3年生男子(15)らが「高校へ進学すると今までより地域とのつながりも減る。お世話になった地域に感謝の気持ちを伝えたい」と住民への配布再開を決めた。
12月上旬、水津や片野尾地区などを1軒ずつ訪ね、...
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