
政府が備蓄米放出を決めても、コメ市場では高値と品薄懸念が続いている。2023年産米の品薄をきっかけとした異常事態は、24年産米が出回れば価格も供給量も落ち着くとされた。だが、その後も高値が続き、備蓄米が間もなく放出される。消費者のコメへの信頼を失いかねない状況を、米どころである新潟県の生産者も心配する。コメ政策が転換点を迎える中、課題と展望を識者4人に聞いた。(報道部・山本司)
-コメの品薄懸念を受け、新潟県を含む主産県の多くの農業再生協議会が、2025年産米の作付面積を増やすことにしました。
「米どころである新潟や秋田は、もっと作れる余力があると見ている。なぜ大幅に面積を増やさないのかというと、独自ブランドが強いから。作りすぎると、新潟米が暴落するリスクがある。その点、業務用米を多く生産している産地の間では、シェアを奪われないように面積を増やした様子がうかがえる」
「中食・外食産業から業務用米の引き合いが強くなり、中価格帯と言われていたコメが高騰した今回のような事態では、業務用米の産地は作付けを増やせる。新潟米というブランドがある新潟は焦って増産しすぎない、という意味で正しい判断だった。西日本も作付面積を増やす目標だが、生産力の低下で達成するのは難しいかもしれない」
-24年産の相対取引価格全国農業協同組合連合会(JA全農)や農協などの主要出荷業者と、コメ卸売業者の間で主食用米を売買する際の契約価格。ページ下部に詳しい解説を掲載しています。 で、新潟米の値上がり幅は他産地の銘柄に比べて抑えられています。
「23年産は高温の影響で、加工用に使われる(粒が小さく主食用米の基準を満たさない)『ふるい下米(したまい)』が大きく減ったことが影響した。米菓メーカーなどが原料確保のために、中食・外食に主に使われる業務用米を買い求めるようになった。業務用米の争奪戦が起き、...